平成29年度 芸術鑑賞会


今朝も青空ですが夜半には雨の天気予報。気温は12℃。今季一番の寒さとなった地域もあるようです。

二十四ある節気、そしてその各節気は七十二候に分けられます。現在は立冬・(初侯)山茶花初めて花開く。冬の初め、ちょうど山茶花が花を咲かせる頃です。山茶花の花言葉は、『愛』にまつわるものが多く、「あなたが最も美しい」「永遠の愛」などがあります。

芸術鑑賞会

昨日は東京演劇集団 風 様をお招きし、午前と午後の2回に分けて『芸術鑑賞会』を実施し全校生徒が鑑賞いたしました。関係者の皆様におかれましては、貴重な機会をいただき、まことにありがとうございました。

演目は『ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎』。

カトリック教会の聖人であり、『オルレアンの乙女』とも呼ばれるジャンヌ・ダルクの生涯を軸とした物語です。

前日から準備された大がかりな舞台装置によって、体育館が劇場へと変化しました。足を踏み入れた生徒たちは、まず一様に驚き、すでに舞台芸術の世界に引き込まれたかのように始まりの時を待ちました。

暗転…と思いきや、喧噪が体育館入口から聞こえるやいなや、旅役者に扮した劇団の皆様が登場。観客である私たちとコミュニケーションを取りながら舞台へと向かい、一気に演劇の世界に引き込まれました。

 

暗転。いよいよ舞台の幕が上がります。

旅役者の一行が伝説の少女ジャンヌ・ダルクの物語を語り始める。(『観劇の手引き』より抜粋)

「役者さんが私たちと直接話をしているような話し方をしていたので、私たちも劇の世界にいるようでした。」

「手や風船、人形などで表現しているのを見て、今までの劇のイメージが変わりました。」

今まで出会ったことがないたくさんの新しい表現が私たちの目の前にありました。

「皆が怖がっていた人形がありましたが、私はそれが民衆の叫びのように感じて、面白く、見ていてわくわくしました。シルエットに何か映ると、次は何だろう、どんな人が出てくるんだろうと胸が高鳴りました。」

全てについて細かく説明がなされていくわけではありません。見えない部分を推測させ、私たちの想像力をそれぞれにかき立てる仕掛けの数々。

 

朗らかに始まった物語は、一転、1400年代フランスの過酷な状況を描き出し、佳境へさしかかります。

「とても近くで見ることができたので、すごい迫力でした。身体の動きや顔の表情から喜怒哀楽といった感情が強く伝わってきました。」

「話をしている役者の方以外の方も、色々な動きをしていて興味深かったです。また、1人の方が別の役を演じていても、全く違った人のように感じました。」

言葉、表情、身振り。表現者の方々の一挙手一投足に心を奪われました。

「舞台の真ん中にあの床の高さが場面によって変わっていました。それによっても感じる雰囲気が変わることに驚きました。高いときに立っている人を見ると勇ましく見えて、低いときに座り込んでいる人を見ると弱々しく見えました。」

「場面の変化によって照明が変わっていましたが、全然違う場所のように見えました。衣装や小道具も注目して見ていると、それだけで、この頃の人々の様子を感じることができました。」

光や音、大道具、小道具、空間を彩る様々な要素も私たちに多くのことを語りかけてくれました。

本校演劇部にも話を聞いてみました。

「私は今回の芸術鑑賞会で物語の中に入り込んだような不思議な感覚を味わいました。それは、役者の方や音響、照明といった裏方の方々、関わる全ての方が1つの舞台へと全力で取り組み、調和した空間を作り上げた結果だと思います。私たちもそんな演劇部を目指したいです。」

先日も『第69回 長崎高等学校演劇発表会』に出場したばかり。得がたい学びの機会になったようです。

部長の楠田さんも話してくれました。

「演劇とは劇に込めた思いを『伝える』作業だと思っています。私は今回、ジャンヌ・ダルクを通して伝わってきた思いから、たくさんのことを考えました。私たちも誰かに思いを伝えることに精を出し、より一層頑張っていきます。」

幕が下りた後は、大きな拍手が会場中に鳴り響きました。

生徒代表挨拶と花束贈呈。

ジャンヌ・ダルク役の髙階ひかり様から、こんな言葉を最後にいただきました。

「今回の劇の中、自分の目で見て、自分で見つけた世界を大事にしてください。そして、それを是非、他の誰かと語り合ってほしいと思います。」

感性に大いに刺激を受けた1日。東京演劇集団 風の皆さん、本当にありがとうございました。

※ 写真は芸術鑑賞会の様子。